令和5年外国人雇用実態調査の結果の公表
~外国人労働者に特化した、賃金や入職経路、入国費用等に関する初の調査~
厚生労働省より、「令和5年外国人雇用実態調査」の結果を取りまとめた結果が、公表されました。
この調査は、外国人労働者を雇用する事業所における外国人労働者の雇用形態、賃金等の雇用管理の状況及び当該事業所の外国人労働者の状況、入職経路、前職に関する事項等についてその実態等を産業別、在留資格別等に明らかにすることを目的として、今般初めて実施されています。
本調査は、雇用保険被保険者5人以上で、かつ、外国人労働者を1人以上雇用している全国の事業所及び当該事業所に雇用されている外国人常用労働者を対象にしており、調査客体として抽出された9,450事業所のうち有効回答を得た3,534事業所及び11,629人について集計したものとのことです。
<事業所調査>
◯外国人労働者数(雇用保険被保険者数5人以上事業所)は約160万人。在留資格別にみると「専門的・技術的分野」が35.6%、「身分に基づくもの」が30.9%、「技能実習」が22.8%となっている。
[1 きまって支給する現金給与額、実労働時間]
◯「月間きまって支給する現金給与額」(一般労働者)は267.7千円[所定内実労働時間155.8時間、超過実労働時間19.8時間]。
【在留資格別(一般労働者)】[]内は順に所定内実労働時間数、超過実労働時間
・専門的・技術的分野 285.9千円[158.6時間、17.5時間]
・うち特定技能 232.6千円[159.9時間、23.8時間]
・技能実習 204.1千円[163.2時間、26.2時間]
・身分に基づくもの 302.3千円[149.5時間、18.5時間]
[2 外国人労働者を雇用する理由]
◯外国人労働者を雇用する(複数回答・事業所計)をみると、「労働力不足の解消・緩和のため」が最も高く64.8%、次いで「日本人と同等またはそれ以上の活躍を期待して」が56.8%、「事業所の国際化、多様性の向上を図るため」が18.5%、「日本人にはない知識、技術の活用を期待して」が16.5%となっている。
[3 外国人労働者の雇用に関する課題]
◯外国人労働者の雇用に関する課題(複数回答・事業所計)をみると、「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」が最も高く44.8%、次いで「在留資格申請等の事務負担が面倒・煩雑」が25.4%、「在留資格によっては在留期間の上限がある」が22.2%、「文化、価値観、生活習慣等の違いによるトラブルがある」が19.6%となっている。
<労働者調査>
◯国籍・地域別では、ベトナムが29.8%と最も多く、次いで中国(香港、マカオ含む)が15.9%、フィリピンが10.0%となっている。
[1 入職経路(入職前居住地:日本)]
◯現在の仕事への入職前居住地が日本だった者について、その入職経路をみると、「知人、友人」が最も多く43.0%、次いで「求人広告(求人情報誌、インターネット)」が19.3%。「日本国内の民間紹介会社」が9.9%、「その他」が6.2%となっている。
[2 入職経路(入職前居住地:日本以外)]
◯現在の仕事への入職前居住地が日本以外だった者について、その入職経路をみると、85.2%が紹介会社や個人からの紹介等を受けており、その内訳をみると、「出身国・地域の紹介会社・個人」が最も多く51.5%、次いで、「日本国内の紹介会社・個人」が13.5%、「出身国・地域のその他機関」が12.0%、「出身国・地域の語学学校」が9.9%となっている。
[3 入職に要した費用]
◯入国までにかかった費用総額をみると、「20万円以上40万円未満」が23.0%、「20万円未満」が19.2%、「80万円以上100万円未満」が14.3%となっている。
[4 就労上のトラブル]
◯今の仕事をする上でのトラブルや困ったことについてみると、「なし」が82.5%、「あり」が14.4%。「あり」の者について、そのトラブルの内容(複数回答)をみると、「紹介会社(送出し機関含む)の費用が高かった」が19.6%、「トラブルや困ったことの相談先がわからなかった」が16.0%、「事前の説明以上に高い日本語能力が求められた」が13.6%、「その他」が34.5%となっている。
[5 転職時の賃金変動(前職:日本国内)]
◯前職の場所が日本国内である外国人労働者の転職による賃金変動状況をみると、約6割が増加、約16%は減少している。在留資格別にみると、専門的・技術的分野のうち技術・人文知識・国際業務では「10%以上30%未満増加(29.1%)、「30%以上増加」(26.8%)が多く、留学生、特定技能や定住者では「変わらない」(それぞれ50.7%、28.2%、25.1%)が多い。技能実習では「10%以上30%未満増加」(21.2%)もいるが、「10%以上30%未満減少」(17.7%)もいる。
※労働者調査については、全て母国語で調査したものではなく、日本語、英語(オンライン回答の場合にはこれらに加え、中国語、ベトナム語、ポルトガル語)で調査を実施した。
出典元:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_46975.html